決算ラッシュはいつ・何時に来るのか — 実データで見る1Q決算シーズンの集中
決算シーズンになると、「決算ラッシュ」という言葉をよく見かけます。多くの上場企業が同じ時期に決算を開示するため、開示情報が一気に増える時期のことです。
では実際に、決算の開示は「いつ」「何時」に集中するのでしょうか。この記事では、J-Quants API の実データを使って、2026年3月期・第1四半期(1Q)決算シーズンの直近実績(2025年7〜8月)を集計し、「発表が集中する日」「発表が集中する時刻」を事実ベースで確認します。あわせて、進行中の今シーズン(2026年7〜8月)の発表予定の分布も見てみます。最後に、この集計を再現する方法も紹介します。
また、今回「発表予定日」の集計に使っている決算発表予定日(/fins/earnings-date)は、2026年8月3日に公開されたばかりの新しい API です。全上場銘柄(REIT・インフラファンド等を含む)の決算発表予定日を、公表履歴(2014年9月以降)までさかのぼって取得できます。全プランで利用できます(取得できる期間はプランにより異なります)。この記事は、新APIで実際にどんな集計ができるかの実例にもなっています。
この記事は開示件数の集中を確認するものであり、特定の売買行動を勧めるものではありません。個別銘柄の評価・将来の相場見通しにも触れません。
本記事の集計・図表は 2026-07-30(実績側の集計は 2025年7〜8月の開示分) 時点で取得したデータに基づきます。
データの整理:「予定」「実績」「開示文書」は別のAPIで取れる
決算に関するデータは、目的によって取得元が分かれています。
- どの銘柄が、いつ決算発表予定か:決算発表予定日(/fins/earnings-date)(2026年8月3日リリースの新API)― 全上場銘柄(REIT・インフラファンド等を含む)が対象。銘柄コード(code)・公表日(date)・発表予定日(scheduled_date)のいずれかで検索でき、予定日の公表履歴(2014年9月以降)も追える
- 過去に、いつ・何時に決算が開示されたか(実績):財務情報(/fins/summary)― 開示日(DiscDate)・開示時刻(DiscTime)を含む実績データ。日付指定やバルクダウンロードで期間集計できる
- 開示文書そのもの(PDF/XBRL):/td/list / /td/files(TDnet/適時開示インデックス一覧・ファイル取得)― TDnet/適時開示情報アドオンが必要
/fins/earnings-date で分かるのは「いつ発表する予定か」までで、「何時に開示されたか」という時刻の情報は含まれません。そこで、この記事では発表予定日の分布を /fins/earnings-date の予定データで、開示された日・時刻の実績を /fins/summary の実績データで集計しています。なお、翌営業日分のみを返す決算発表予定日(3・9月期決算会社のみ)(/equities/earnings-calendar)という軽量なAPIもあります。
(/td/list はTDnet/適時開示情報アドオンの契約状況によりアクセスできない場合があります。本記事では /fins/summary の開示時刻(DiscTime)のみで集計しました。)
実測①:発表は「特定の数日」に集中する
2025年7月〜8月に開示された「1Q決算(実績)」(業績予想の修正や配当予想の修正などは含まない、決算そのものの開示)を日別に集計すると、件数は年間を通してではなく特定の数日に強く偏ることが分かります。

対象期間(2,540件)の中で最も件数が多かった日は 2025年8月8日の618社でした。これは1営業日あたり2,000社超の上場企業のうち、実に4分の1近くが同じ日に決算を開示したことを意味します。
このピークが生じる背景には、決算短信の開示ルールがあります。東京証券取引所は、決算短信について期末後45日以内の開示が適当(30日以内がより望ましい)としており、期末後50日を超える場合には理由等の開示が求められます。多くの企業がこの目安に沿って準備するため、期末(この場合は6月末)から一定期間後に開示が集中します。
この集中は「実績」だけでなく「予定」の側からも確認できます。決算発表予定日(/fins/earnings-date)で、2025年7〜8月を発表予定日とする1Q決算(各銘柄・各決算区分で最後に公表された予定日、2,395件)を日別に集計すると、最多は 2025年8月8日の589社(全体の約25%)。実績のピークと同じ日でした。

今シーズン(2026年)のラッシュは「いつ来る予定」か
過去の実績だけでなく、進行中のシーズンの「これから」の予定も、/fins/earnings-date なら公表済みの発表予定日として一覧できます。2026年7〜8月を発表予定日とする1Q決算(2026年7月30日までの公表分・2,267件)を日別に集計すると、次のようになりました。

発表予定が最も集中するのは 2026年8月7日の514社(予定)です。昨シーズン(実績ピーク8月8日)と同じく、シーズン終盤の数日に集中する予定になっています。
※発表予定日は変更されることがあります。上の集計は2026年7月30日までの公表分に基づく「予定」であり、実際の開示日・件数はこれと異なる場合があります。
実測②:発表は「15時台」、特に「15:30台」に集中する
次に、同じ2,540件について、開示された時刻(DiscTime)を集計しました。

15時台に開示された件数は全体の56%、16時台と合わせると74%に達します。東京証券取引所の現物市場の立会は15:30に終了する(2024年11月5日に従来の15:00から30分延長)ため、多くの企業が市場が閉まった直後に決算を開示していることが分かります。
さらに15時台の内訳を見ると、15:30〜39分に開示された件数が15時台全体の77%を占めていました。「15時台に集中する」というより、より具体的には「15:30ごろに集中する」というのが実態に近いようです(これは開示の集中傾向を示す事実であり、開示直後の株価変動を示唆するものではありません)。
参考:ある1日(2025年7月28日)の発表予定を切り出す
/fins/earnings-date は scheduled_date で日付を指定すると、その日を発表予定日とする銘柄を一覧できます。2025年7月28日を指定して取得すると、次のような結果になりました。

2025年7月28日を発表予定日とする銘柄は27社で、そのうち23社(約85%)が第1四半期(1Q)決算でした。ここでも、季節的に1Q決算が集中している様子がうかがえます。
読み方の注意
- 発表予定は変更されることがあります。/fins/earnings-date の予定日は確定情報ではなく、変更されることがあります(2025年1Qシーズンでは、約2.5%の銘柄が予定日の変更を公表していました)。変更されても以前のレコードは削除されず、変更履歴として追えます。一度公表された予定日が「未定」に変更された場合、SchDate は空文字になります
- 件数の集中は事実の提示であり、売買タイミングを示すものではありません。特定の日・時刻に開示が多いことと、その日・時刻の相場の動きを結びつける意図はありません
- 開示時刻の集中(15:30台など)も同様に、事実の提示にとどまります。開示直後の値動きへの言及・示唆は行っていません
- ここで集計した「1Q決算(実績)」は DocType が 1QFinancialStatements から始まるレコードに限定しています。業績予想の修正など、決算そのものではない開示は含めていません
- 取得できるデータ・期間はプランにより異なります。実績側の集計にはバルクダウンロード(bulk get)を使用しており、これは上位プランで利用可能な機能です
再現方法(CLI)
この記事の集計は、以下の J-Quants CLI コマンドで再現できます。
ステップ1:フィールド名を確認(DiscDate・DiscTime が開示日・開示時刻):
jquants schema fins.summary
ステップ2:2025年7月・8月の財務情報をバルクダウンロード(全銘柄・月次):
jquants bulk get --endpoint /fins/summary --date 2025-07 --download
jquants bulk get --endpoint /fins/summary --date 2025-08 --download
ステップ3:解凍
gunzip fins_summary_202507.csv.gz fins_summary_202508.csv.gz
ステップ4:DocType が "1QFinancialStatements" で始まる行を集計する(DiscDate=日別/DiscTime=時刻別)。本記事の集計スクリプトは Python の csv.DictReader + collections.Counter で実装しました。
ステップ5:特定日を発表予定日とする銘柄を取得(決算発表予定日 API)
curl -G https://api.jquants.com/v2/fins/earnings-date -H "x-api-key: {APIキー}" -d scheduled_date=2026-08-07
決算発表予定日 API は、scheduled_date のほか code(銘柄コード)・date(公表日)でも検索できます(パラメータはいずれか1つを指定)。予定日の分布(図の集計)は、date で公表日を走査して各銘柄の最新の予定日を集めれば再現できます。
/fins/summary はバルクダウンロード対応エンドポイントのため、全銘柄・月単位のデータを1リクエストで取得できます(個別銘柄・個別日付をループで取得するとレートリミットに抵触しやすいため、期間集計にはバルクダウンロードを推奨します)。
まとめ
- 1Q決算の開示は、2025年7〜8月の実績で見ると特定の数日(ピークは8月8日、618社)に強く集中していました。予定側から見てもピークは同じ8月8日でした
- 今シーズン(2026年7〜8月)は、公表済みの予定ベースで 8月7日(514社)に最も集中する予定です(2026年7月30日公表分時点。予定は変更されることがあります)
- 開示時刻は 15時台(56%)、特に15:30台(15時台の77%)に集中していました。取引所の立会終了(15:30)直後というタイミングが背景にあると考えられます
- 「予定」は /fins/earnings-date(銘柄・公表日・発表予定日で検索でき、公表履歴つき)、「実績」は /fins/summary の DiscDate/DiscTime で追うことができます
- これらの集計は、開示の集中傾向という事実の提示にとどまり、売買タイミングの示唆や将来予測を意図するものではありません
関連する仕様ページ
※本記事の図に掲載したデータの取得可否・取得可能期間はプランにより異なります。本記事の図は、過去の一時点のデータを集計して切り出したものです。最新のデータや、銘柄・期間・条件を変えた集計は、J-Quants API で取得・再現できます。
この記事は J-Quants 公式 X(@jpx_JQuants)で公開した記事を、加筆・再構成したものです。